2015年に新メンバーが大量加入となったハロー!プロジェクトがどういう状況かというと、アイドル群雄割拠のリアルタイムストラテジーにおいて、道重さゆみと嗣永桃子によって理論値以上に引き上げられたハロプロのブランド資産(M資金)が尽きる前に、次の陣取りに必要な人員を前線に送り出したという格好。
2015年デビュー組の半数以上がハロプロ研修生という今までにない状況には内外を問わず悲喜交々の人生模様が映し出される。長い(といっても3年とかだけど)研修期間を経てデビューの形となったものもいて、それはそれで喜ぶべきことだが、同時にハロプロ研修生における顔役問題というものが浮き彫りになるかも知れない。
かつての宮本佳林がそうだったように、顔役は、研修生というまだ何にもなりきれていないカオスの状態に身を置く少女達の希望でもあり壁でもある。つまるところ象徴であり、彼女たちにとってその世界を動き回るためのエンジンのようなものだ。
Juice=Juiceが結成された時、浜浦彩乃はすでにその筋では有名だった。
顔役になる人間は、そのほとんどの場合、ハロプロ研修生加入と同時に名前が聴こえてくることが多い。
それが浜浦彩乃であり、牧野真莉愛であり、室田瑞希であり、佐々木莉佳子だった。
彼女らはハロプロ研修生単独イベントを成功に導く鍵でもあった。
これらは今回、それぞれのグループに登用された。
十分に訓練され、十分に商品価値を持つ少女たち。しかし同時に、研修生は顔役を欠くこととなる。
顔役となるには、単に努力するだけでは足りない、何かを持っていなければならない。
美貌? 歌唱力? トークスキル? 運?
それを「キャラクター」と言えば簡単だが、それを獲得するにはどうすればいい?
そして残された研修生たちには、広く自身を周知させるだけのキャラクターが備わっているのか、また、その萌芽はあるのか。
私のように、基本的にハロプロ研修生をフォローしていない人間にとっても、船木結の名前は聴こえてくるが、何かが足りない気がする。
残酷なショービジネスの世界において、とくにアイドルという人種には、何をさておきキャラクターが必要だ。
ハロプロという、入っただけで数万人にリーチできる組織においても、それは変わらない。
0か1。品行方正な市民より、アーカムアサイラムのサイコパスに照明が向けられる、そんな世界だ。
そういった人材こそ、次の世代の希望となる。
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