知らない人のために説明しておくと、鞘師里保(さやしりほ)というのはモーニング娘。9期メンバーで、一応センターとか、エースとかいうポジションの人で、高校一年生です。ハロー!プロジェクトの猛者ぞろいの98年組と呼ばれる女の子たちの中でも、「いや、鞘師さんにはかなわないっす」とか言われちゃう子なんですが、「歌い方どうなっとん?」とか「ドヤ顔でポンコツ」とか、そういう評価もあります。
違和感。この鞘師里保にまつわる違和感を、改めて考えてみたのですよ。NY公演の動画なんかを一通り見ながら。そしたら、この感覚、どこかで感じたことあるぞと。そうして行き着いたのが、木村拓哉への違和感だったのです。はい。
■キムタクコンピューター
私は一応SMAPファンでもありますが、基本的にはスマシプファンといいますか、中居・草なぎ・香取ラインが好きなのですね。バラエティで扱いやすい感じ。中居くん、ちゃんと結婚できるんか?とか、日々心配してますよ!
木村拓哉という人はSMAPのなかでも特に男前担当なので、基本、バラエティなんかではあまりみないのですが(コントですら男前役やったりするので)、私なんかからすると、もうドラマから面白い。ドラマのキムタクの「自然体」演技の不自然さ。最高。
なんでしょうね、あの違和感。同じ男前でも、たとえばあれをEXILEのメンバーなんかがやったら「俺らストリート出身だし」という空気を醸し出して、違和感はあまりないというか、しょーもな! で終わると思うんですが、そこは木村拓哉さん、やっぱりね、芸能界の方なんですよ。
木村さんは剣道やってたり、サーフィンやってたり、意外と泥臭いこともやってるアピールあります。そして「俺、お笑いもやれる」感をちょくちょく出してきます。だけど、最後の一線だけは超えない。どこまでも男前。
「お笑いも全力でやります」
その全力が男前すぎんだよっ!!
この、木村拓哉の「男前でいることの滑稽さ」を抽出したのが芸人・ホリの「ちょ・まてよ」ネタです。
東野幸治は、かつてそれらを「キムタクコンピュータ」と名づけました。
TOYOTAの車のCMだったと思いますが、木村拓哉のよこを車が通り過ぎて、それを見た木村氏が振り返りざま、ゲッツみたいなポーズを決める。(いちおうカッコイイとされているシーン)
「あいつのコンピュータがすごいねん!」
【音声のみ】
http://youtu.be/JRYAzzANrn0?t=6m30s
おそらく、木村さん、実物めっちゃかっこいいと思います。当たり前ですが。だからドラマの撮影現場とかでも演技をさせると現場のスタッフや演者は「やっぱキムタク最高だわ!」となる。しかし編集の段になって「こいつ鼻すすってばっかやんけ!」となっちゃう。
でもいいんですよ、木村拓哉だから。木村拓哉であることが重要だから。
多分木村さんあれですよ、本番始まっても舞台上で、しかも曲中とかにも髪の毛後ろでまとめたりしちゃいます。輪ゴム口でくわえながら。
そして歌い方も自分なりのアレンジしちゃいます。もうそういうの大好物です。面白すぎるやろ!
そういう木村さんが、時にポンコツを出すのですね。「いいとも」のスペシャルなんかで。これはもう生だから直せない。ダダ漏れ。木村拓哉の感覚からすればありえない学のなさというのが露呈してしまう。
たとえば「映画のシーン」とかをちょっとかっこよく書こうとして「映画のsene」とか書いちゃう。Sceneですね。
「R&Bは何の略か?」の問いに「ロックアンド……」と答えちゃう。
これは普段の神格化された木村拓哉からすればありえないわけです。お笑いは好きだけど、笑われることはよしとしない。そしてそのポンコツ具合を垣間見た視聴者も「え…… いや、間違いだ、世界はコンピュータのプログラムで、いまあの瞬間宇宙がバグったんだ!」と木村拓哉以外に答えをみつけようとします。
木村拓哉も一応音楽の人だし、ギターも弾けるし、ちゃんとR&Bの略は知ってると思いますよ。咄嗟に聞かれて、咄嗟に口をついたのが「ロック……」だっただけで。
このポンコツ感、まさに鞘師里保!
やっぱりね、「芸能界の人」ってのがキーになると思いますよ。
■見栄を切れ
いつもツッパってなきゃいけない、という自意識の強さが崩れたときに出るポンコツ具合。
そのとき、ダダ漏れになった違和感のもたらす、事故の目撃者になった気まずさ。
「芸能界の人」といえば同じ9期メンバーの譜久村聖cもずっとハロプロエッグだったじゃないかと、いいますが、またハロー!プロジェクトというのは特殊で、上の世代が強すぎるというのもあり、ハロプロエッグ出身者は非常に自己評価が低いのですね。だからみんな「私なんて……」みたいなメンタルが多く、めちゃくちゃ慎重に舞台を踏む。
生田衣梨奈も一応モデル事務所的なところに所属していましたが、あんなんはもうほぼいけたらラッキー的な感覚で仕事を待ってる状態なので(しらんけど)、鞘師の背負ったものとは別物。だからこそ生田は鞘師とは違うアプローチというものを早い時期から模索することにし、それが一応さまになっているのでまあいい。
鈴木香音は鞘師と同学年ですが、これはもう完全に素人の出。
それに対し鞘師里保というのは、小さい頃からイベントで人前に出たり、広告のモデルになったり、モーニング娘。に入ってからは早々に次期エースとして期待を一身に背負い、ラジオ番組を持たせてもらい、一人の取材も多い。
いやがおうにもツッパることを強いられるわけですね。
歌割りも多いので常に出ずっぱりだからミスも目立ちやすい。
彼女自身、元々積極的な方ではないけれど、どっちかというとすましていたい方なんだけど、周りが引っ込み思案な譜久村聖、自分の言いたいことだけを言いっぱなしの生田衣梨奈、小学生的にボケたい鈴木香音と、こういった環境なので、自分は優等生じゃなきゃいけない、軌道修正しなきゃいけない、と乗り出して突っ込んだりすると、ここでポンコツが出てしまう。
鞘師が一番可愛かった瞬間といえば、やっぱり「こなぷん」だと思うんですよ。
あの時の彼女が本当の鞘師里保だった。鈴木香音と同じ小学生だった。
「こなぷん」とか、テレビ東京の夕方にCMするやつを言っちゃう可愛さ。
でも彼女には使命があった。自己を高め、グループを高めるという使命。
道重さゆみが戦ったように、彼女もまた、多くを背負って戦っていた。
芸能界という魔窟に身を投じる覚悟。
やっぱりそれはかっこいいですよ、男前ですよ。木村拓哉ですよ。
■命を燃やす
道重さゆみというイコンがモーニング娘。を去る時、どうしてもモーニング娘。の、ひいてはハロー!プロジェクトの顔として出なきゃいけないのは鞘師だと思うのです。彼女が新しい世代の象徴じゃなきゃいけない。道重さゆみが休業に入るというのは、自分よりも、新しいモーニング娘。にスポットライトを向けさせる、最後の置き土産だと思うのですね。
だからこそ、いま新メンバーには鞘師をたたきつぶして欲しい。
天然技巧派の小田さくら、ダンスやスタイルで見せるであろう尾形春水、あとはよくわからないけれど、ここらへんが徹底的に鞘師を打ちのめして欲しい。打ちのめされて、グズグズになって、それでも立ち上がった時に、鞘師里保は本当の輝きを出せると思うから。
そういった本当の輝きの前では、ポンコツなんて霞んでしまうから。
あと、もっとポロポロと広島弁出していこう!
ということを考えながら歩いていたわけですよ。
そんでブックオフに入ったら
『木村拓哉語録』って本があって、思わず買いそうになっただろうが!!
「俺の中にはカッコイイもダサいもあるんだよね」的なことが書いてあったよ!
いつか買いたいリストに追加だコノヤロー。きょうは買う勇気なかったわ。
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面白い記事があったのでついコメントしてしまいました。
わたしもSMAPと娘。両方を応援しているのですが、ずっと鞘師は木村だ!!と思っていました。
おもに両者ともにちょっとその場の空気と違う発言をする、常にマジレスなところがそう感じる理由だったのですが、この記事を読ませていただいて「あーそれだそれだ!!わかる!!」ととっても納得しました。
コメントでなんだかこっちが恥ずかしくなるようなことを言っちゃうあたり、おんなじです(笑)
面白い記事でした、これからも読ませていただきます!