アイドル黙示録 中二ブログ

16ビートとともにあれ

『SCP財団』は新たな神話となるか



『SCP』財団は新たな神話となるか



『ミズキングダム』をつくる際、ミニゲームをいくつか入れようと思って、ミニゲームってどんなのがあるのかと色々ゲームを調べてたわけですよ。データも用意したけど、肝心のスクリプトがうまく動いてくれなくて結局断念したんですけど。
そのなかでX-BOXのどうしようもない海外インディゲームとかも、ひと通り歴史みたいのも学べた。

毎日ムキムキ
http://hakotossdm.blog42.fc2.com/


で、そこから海外のインディゲームを巡ってくうちにホラーゲームについて調べてみると、面白いものがいくつか見つかった。
ひとつが『Slender
海外の都市伝説”スレンダーマン”を題材にしたゲームで、”見たら死ぬ”というスレンダーマンを避けながら、マップに散らばるメモを回収していくというもの。
メモの位置がランダムな上にスレンダーマンもランダムに現れるので、クリアするのはほぼ運ゲーの域っぽい。
最初に見たフリーゲーム動画はすごい操作性悪そうなゲームだったけど、製品版はどうやら質のいいゲームエンジンを使っているらしく、マップもきれいだし、一応ストーリー的なものも整理されてる。

『SCP』財団は新たな神話となるか


懐中電灯ひとつを頼りに、ビデオカメラの一人称視点で廃屋や森を探索する。
電池が無くなる恐怖と、いつ出てくるかわからないスレンダーマンの恐怖を常に感じながら歩く。スレンダーマンが近くにいると、画面や音声にノイズが入る。この演出が緊張感を増して怖い。
この『Slender』は大ヒットして、同じようなゲームがいくつもつくられることとなる。
懐中電灯を頼りに歩くホラーゲームって元ネタはもっと古くからあるけど、最近のホラーゲームも一人称+懐中電灯ってパターンが多い気がする。




そしてもうひとつがこれ『SCP Containment Breach

『SCP』財団は新たな神話となるか

なんだこのやる気のないモンスターは!
というのが最初の印象だった。だけど、ゲームの内容を知るとめちゃくちゃ怖くなる。








最初、ゲームの内容がわからないまま「indie horror game play」とかでひっかかった動画を観てただけだと、なぜ大の大人が(石川さん)大声で悲鳴を上げているかわからない。
CGも雑な動きをするし、ナニが恐いのかと。
でもゲームのルールとストーリーを知ってるととたんにこいつが恐くなる。


『SCP』財団は新たな神話となるか


動画を観て最初に気になったのは、常に減ったり満タンになったりする「まばたきゲージ」。
これはそのまま、まばたきのゲージで、0になると主人公はまばたきをする。
『Slender』と同じく一人称視点なので、その瞬間画面が真っ暗になる。
自分で瞬きをすることもできるが、ゲージは常に0に向かうので、自分の意思と関係なくまばたきをすることもある。

で、このモンスターはSCP-173と呼ばれる「超常現象」で、主人公は最初、このSCP-173の部屋を掃除しに行く。
主人公は死刑囚で、SCP財団にDクラスとして雇われ、SCP財団の雑用や研究に協力をしている。Dクラスは、「使い捨て(Disposables)」のこと。

SCP-173は、鉄筋コンクリートでできた何物かだけど、生きているらしい。どこから出てくるかわからない血と排泄物を、隔週で掃除することが、運用において決められている。
こいつは誰かが視ているうちは動かない。だが、見ていないところでは動いているらしい。
監視モニターの中では高速で動いているのが確認されている。
こいつは人間に対してすごく敵対的なので、注意しないと殺される。
だから掃除する際は、Dクラスの人間三人が部屋に入り、二人がSCP-173を見続け、一人が部屋の掃除をする。 しかし、視ているべき二人が同時にまばたきをしたら……
こいつはめちゃくちゃ速く動く。まばたきする間に間合いを詰めている。そして首をひねって殺す。
簡単なルール。こいつを見詰めたまま、安全なところまで逃げる。ただし、まばたきしたら死ぬ。


ゲームでは、序盤にこの怪物が逃げ出し(主人公以外の二人が同時にまばたきをした)、主人公はこの怪物と、この建物から逃れるために施設をかけめぐる。
で、急にこいつが扉の向こうにいたりする。
そのときまばたきゲージに余裕があるなら、SCP-173をみつめながら後ずさりをし、扉をくぐり、扉を閉めればセーフ。もし瞬きしてしまったら、次の瞬間にはもう目の前にこいつがいて、殺される。この二段構えなシステムがめちゃくちゃ怖い。
SCP-173は「元型」と呼ばれているが、施設内には別のSCPもいる。
それぞれ厳格なルールがあり、襲いかかってきたり、アイテムになったりする。


SCP Containment Breachとは - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/scp%20containment%20breach



SCP財団は、この「超常現象」を管理する組織で、Secure(確保) Contain(収容) Protect(保護)することを目的としている。
収拾された現象はそれぞれ「SCP-xxxx」という認識票を与えられ、管理される。
このゲームには元ネタがある。『SPC財団-wiki』だ。




このwikiは日本でいえば2chオカルト板みたいなもので、架空の財団SCPについて、またそこで取り扱われている超常現象について不特定多数で運用されている。
wiki形式のページは、メンバーならだれでも編集に参加でき、記載内容のただひとつのルールは、ユニーク(独創的)であること。
このページの創始者が最初につくったSCPが、最初にでてくるSCP-173だ。

日本語ページもある。

The SCP Foundation 非公式日本語化wiki
http://scpjapan.wiki.fc2.com/
これは有志の方が翻訳しているもの。非公式

SCP財団
http://scp-jp.wikidot.com/
こっちは創作のwiki。非公式



本家の翻訳を読むと、なんとなく雰囲気がわかると思う。
それぞれが独立の作品でいけるんじゃないかと思われる独創的なSCPがたくさんいる。
だけどもちろん変なものもあって、

SCP-207 - Cola Bottles (瓶コーラ)
http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-207

これなんかは「お前コーラでネタ書きたかっただけだろ!」と思ったりもする。
やっぱりSCP-173の存在感が抜群で、理解不能なものに対する恐怖というのは日本のホラーの文脈に近いものがあって、非常に怖い。
そして、無機物が何らかの作用で魔術的な何かになる恐怖。
手塚漫画『三つ目がとおる』で、べつになんてことない三角錐だけど、並べ方次第で雷を狙ったところに落とす魔術アイテムがあったけど、あれみたいな。まだ解明されていないテクノロジーと魔術の中間というか、日常のひずみ。
SCP財団は、そういったひずみを覆い隠し、人々に、世界は何事もなく、平和であるという幻想を提供している。
このwikiは、あたらしい神話のようなものなのかもしれない。



んで、件のゲーム『SCP Containment Breach』は、本家SCPwikiの方々にとってはちょっとどう扱っていいものかという代物らしい。

このwikiのオーナーは他のメディア展開 (テレビ、映画、ポッドキャスト等) も考えていますか?
ウーン、イエスです。そしてもし我々のアイディアでないのなら、多くの人は我々に言及します。ライセンス条項 が問題となります。我々は現在、ほとんど毎週クリエイティブコモンズの解釈について議論を行なっています。特に現在は SCP Containment Breachが大きな議題です。我々は正直に言って、あなたにはやって欲しくないです。少なくとも著者かスタッフに確認を取ってください。

http://scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/FAQ

SCP財団の物語についてはいろんな展開を考えて入るけど、今回作られたゲームは勝手に作られたものだから、どうしよう、、、ってことかな。



なんにしても、この『SCP Containment Breach』はゲームとしての出来がめちゃくちゃいい。
言葉がわからなくても、ルールが明快なので何をするかわかるし、ちゃんとこわい。
できればしっかりつくって、製品になって欲しい。
映画なんかにもなるかもしれないけど、瞬きする瞬間を表現するのに、映画はちょっと難しい気もするし。

日本のネットで”ホラーゲーム”というと、RPGツクールで作成された探索、追っかけっこ、脱出ゲームが引っかかることが多い(『青鬼』が有名ですね)。こういった日本のRPGツクール製ゲームも、有名なものは翻訳版が作られたりしている。
海外ではMOD文化が広がりを見せているためか、有名なMODやゲームエンジンを利用したゲームがフリーで公開され、それから製品版が出て……って流れがあったりするみたい(前出『Slende』もそのながれ)。


明確なルールが重要だ。
もし言葉を極力必要としない、新しいルールをつくることができるなら、あなたの作品は世界で流通するかもしれない。


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[ 2013/11/02 21:12 ] オカルト | TB(0) | CM(0)
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