■MVストーリー構成
晴れてモーニング娘。の新メンバーとなった12期の4人は、evening駅で先輩メンと同じ車両に乗り合わせる。
駅のホームでは先輩たちによく似た少女たちから応援を受ける。
先輩たちはみんな個性的で、自由気ままに振舞っているかのように見える。
モーニング娘。の車両から見る景色は目まぐるしく変わり続け、また初めて見るものも多い。
変化についていけなくなった12期メンバーは、元いた日常に引き戻されるように逆走し、再びevening駅へ。
そこで再び少女たちの応援を受ける。ここまでが1番。
いろは歌は「いろはにほへとちりぬるを わかよたれそとつねならむ」。
本来は「この世は儚い」という意味。
『青春小僧』の歌詞の意味と同期すると、挫折や喪失を表しているのかもしれない。
ここでモーニング娘。になった4人の最初の挫折が描かれる。
モーニング娘。になるとはどういうことか。
再び電車に乗った4人は、今度は先輩たちと一緒に電車の屋根へ登る。
そこで生田衣梨奈によって、メンバーが進むべき方向が指し示される。
いろは歌「うゐのおくやまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす」
「幻に惑わされず 未知の人生を歩いてゆく」みたいな意味で、MVでは混沌の未来に飛び込み、次のmorning駅へたどり着くことを示している。
メンバーたちは走る列車を追い抜くために、屋根の上を走り始める。
まずは先輩が手本になるよう、闇の中に飛び込んでゆく。
それに続くメンバーたち。
「モーニング娘。になる」とは、今日の自分を更新し、未来の自分になることにほかならない。
そしてそれはほかの誰でもない、自分自身になることだ。
夜を抜けた先には光が溢れ、新しい自分になった新メンバーたちは、本当のモーニング娘。になった。
と同時にモーニング娘。はアップデートされ、'14から'15に切り替わる。
一見バラバラの個性を持った少女たちが、不思議なアンサンブルを奏で出す。
今度は彼女たちを見ている誰かを、未来へ導くために。
■MV画面構成
渋江監督のつくる画面の特性として、レイヤーを意識した画面構成というのがあるかもしれませんね。
だから現在の有機的で立体的なモーニング娘。のフォーメーションダンスとは相性は悪いのかも。
これから何回かこのアナザー企画をやったら、もっと噛み合うものができると思うんですが、どうなんでしょうか。
渋江監督の得意とする聖俗を混濁させるモチーフの使い方というのは、同じく聖俗を同時に描くつんく♂の歌詞世界とは相性いいと思うんですよね。
ダ・ヴィンチモチーフの取り入れ方は非常にわかりやすいところだと人体図ですが、最後の牧野が桜吹雪の中を天から降臨するところは、ダ・ヴィンチが聖像を手がけたこととマリアの名をかけた構図なんでしょうか。
最後にタイポを入れるのはCF監督って感じですね。
■メンバー
まず冒頭でムスっとした表情で踊る鞘師が良かった。
斜めに前髪を切って軽く腕組みして立つ工藤が中3に見えずイケメンだった。
チアリーダーさくらたそがかわいかった。
まーちゃんのウエストが綺麗だった。生田のウエストが細すぎた。
野中・石田の新旧ドヤ顔対決が良かった。
最後のシーンでの生田の立ち姿が現役JKって感じでキマってた。
なんにせよ、現在のモーニング娘。を周知するプロモーション映像として、意味のある映像だと思います。