おい、これパトレイバーファンの作った動画か!?
ってくらい過去のイメージが押し寄せておりました。
いつも観に行こうと思っていても気づけば公開終わってるパトレイバー。
今回は好きな「TOKYO WAR(いわゆる劇場版2)」のパロディなのでぜひ観ようと。
ちな直接の原作になっていると思われる小説「番狂わせ」は未読なので実際どの程度そこからネタが拾われているのかはわかってません。
池袋で鑑賞、観客は10人未満。
以下、ポイントごとに感想を……
■押井実写
まあいくら世間が「待望のパトレイバー実写化!」と期待に胸膨らませても、そんなのお構いなしにいつもの押井監督の実写映画という。わかってたけどね!(押井信者並みの感想)
画面のクオリティを上げるよりも「この構図が好きなんじゃい!」っていうゴリ押し!
押井ファンは「監督はりきってんね!」と思うけど、一般には響かないもどかしさ。
フクちゃんとか観てててもセリフの半分聞き取れてないし理解できないしするつもりもないだろ!
でもそれでいい。そんくらい流して観ていいんだよ、押井映画ってのは!
「ココ最高に押井」ってシーン
・車のドアの前で立ち話
いや、それカッコイイつもりなの!?っていう、アニメだと止め絵でセル数も節約できるし押井作品はセリフ劇が真骨頂なんだけど、実写だと間抜けに見える!
本作のモチーフの一つになってるOVA版「二課の一番長い日」前編の最後に南雲隊長と後藤隊長が雨の降る夜更けに車の中で情報交換するんだけど、ずーっと暗い車内の止め絵。
それで話し終えたあとに車を降りると、そこで雪が降ってくるんですね。
川井憲次の音楽と相まって空を見上げる南雲隊長が最高に色っぽいわけですけど、今回セリフの応酬をやる高島礼子と筧利夫にはそのカタルシスが用意されてないんで肩透かしを食らうんだよなぁ。。。。
・いつもの船
いつもの船だぜ!
ってことで、とりま「この構図はオイラの専売特許」とばかりに繰り出される水上艇シーン。
パトレイバー1の帆場捜索パート、パト2の柘植密会シーン、荒川×後藤の水族館シーンパロディ(うる星とかにもるけどさ)も今回あり、船に乗りながら独白がエコーかかって流れたりさ。監督が好きなんだからしょうがない。押井がやりたいことはなるべくやらせてあげたいからさ(矢作)。
OVAでも出渕さんかだれかが実際レイバー隊のコスプレして埋立地や船上でなんか喋ってる映像がありますしね。
なんつーか、上の世界をあるかない下の方をこそこそと動き回る学生運動チックなのが好きなんでしょうな。
んで、そういうシーンをアニメ版みたいな演出で見せたりするわけですよ。
アニメはまっすぐにスーっと景色がスライドして、冷たい、静止した東京ってのを演出するのにいいんですけども、なんせ実写だから画面がブレて全然意図した画になってない。
そんなとこが最高に押井実写。
アニメの方法論を持ってくるのはいいとは思うんですけどね、それをゴリ押しするのがなあ。
まあ、
役者全員が声優や業界関係者とかいう荒業使わなかっただけ、今回はかなり譲歩してくれたのかもしれん。
結論:押井映画は中二病患者の環境音楽です
■おまえ南雲隊長好きなだけちゃうんかと
今回の映画では後藤隊長は終ぞ姿を現しませんが、南雲隊長はやってまいります。
そしてその声をオリジナル声優の榊原良子氏が演じておられます。
笑ってまうやろ、いい加減にしろ!
今回の幽霊役・灰原にしても、二課のロシアハーフにしても、押井が好きでたまらない女性像ってのが如実に出ていて面白かったですね。
キャメロンがリプリーとかバスケス好きな感じですね。
少し影のある、だけど芯の通っている、そして自分にだけ何故か優しい女性ね。
あくまで真野ちゃん演じる泉野アキラは若いカップル用の装置だけど、南雲隊長に関しては完全に、お前が好きなだけだろ!っていう出方するからなあ。押井監督はこういう女性に触れられないとは思うんですけど。
押井ファンはみんな南雲さん好きなんだよ!
んでもね、南雲さん、柘植のテロ事件から結構時間経ってるわけだからさ、もうすこし老けさせたほうがよかったと思うんですよね。ちょい白髪とか混じってたりさ。そんで南雲さんは結構がっしりしてる印象なんだけど、今回の実写では線が細いですね。
あと、押井監督は自分のダンディズムの部分を後藤隊長に託していると思うんだけど、今回のパロディ満載の構成の中で後藤隊長の決め台詞「だから遅すぎだと言っているんだ」は、さすがにもう一回やるのは監督自身も恥ずかしかったのですかね。決めゼリフを南雲隊長の「私に触れるな」で代用してたんですけど、後藤田(筧利夫)用のセリフ考えてあげても良かったんじゃないですかねぇ……。
結論:まあ、南雲さんだからねえ
■東京蹂躙
上でいろいろ文句言ってるけども、結局押井監督は火器とかメカを描かせたらカッコいいわけよ!
CGがショボイとかそんなとこは押井ファンにはどうでもよくて、デカいリボルバーぶっぱなしたり、特殊戦闘ヘリが怪獣みたく鳴いたり、ヘリが歩道橋の下をギリギリで通っていったり、ライフルで壁ぶっ壊したり。
そして不謹慎すぎて実写では
幸福の科学の映画くらいでしかやらないような東京の破壊もじっくり見せてくれるよ!
これもパトレイバー2で見たような構図多いけども、森ビルさん提供の都庁や警視庁のCGビルをガンガンぶっ壊していくやつね。「いや、これアニメのパトレイバーでやったやつの焼き増しなんで」という言い訳を盾にしたテロ描写。警官による道路封鎖も機銃掃討しちゃうぜ!
結論:宮さんと同じで不謹慎スペクタクル描かせたら流石っすね
■真野ちゃん
真野ちゃんは一応ヒロインなんだけども、劇場版パトレイバー(アニメ)を見てる人はわかると思うんですが、基本的にアニメでもレイバーや野明は最後の最後に出てきて最後の対決をやる。それまではずっと後藤隊長とその仲間による捜査パートなんですよ。
OVA「二日の一番長い日」でも、最後の最後にレイバーが活躍するんだけど、パイロットはひろみちゃんだし、ミサイルのほうだいを潰すだけなんだけどね。だから今回も真野ちゃんは前半全然活躍しない。ロシアハーフのほうがカッコイイ軍隊格闘アクションやったりする。
だけど、全編パト2パロディの構成が最後はパト1のイングラムvs零式の対決のパロディになってて、そこで灰原ヘリと真野イングラムの一騎打ちとなります。
で、画面の構図だけにこだわる押井監督による最高に見栄を切ったシーンが展開されるんだけど、そこで真野ちゃんしっかり輝いてたよ!緊急脱出用電源が入れられて胸の扉が開き、生身の真野ちゃんの銃を構える姿と、それと連動して動くイングラムの腕がせり上がってくるあの感じね。
ってことで、真野ちゃんもしっかり見せ場貰っててよかったですね。まのフレ歓喜。
演技については素人なのでよくわかりませんが、真野ちゃんの声はしっかり通るいい声だなって思いました。
劇場版パトレイバー1では零式を止めたあと、野明と遊馬が抱き合ってクルクルってやってそのままおんぶされて、そこで音楽が鳴ってめっちゃ爽快な終わり方なんですが、今回の映画でもそういったシーンがあったんですが、そのあと後藤田隊長と公安の女(高島礼子)の会話が入るので、そこは、うーん、、、て感じですかね。
最後の最後は灰原で終わるしね。どんだけ好きなんだよ!
結論:真野ちゃん、オタク界を上り詰めたね
■総括
結局やね、総監督は押井守がやって、実際の指示出しとかはリュック=ベッソンとかにやってもらったほうが良かったんじゃないかと思ったり。リュック=ベッソンも言い値で引き受けてくれるだろ!
その辺はいいです。押井ファンは押井作品が公式に世に出たってだけでOKなので。
あと、ハロプロファンとしてはやっぱ真野ちゃんがこの作品に出た意味ってのを考えなきゃなんですが、とりあえずね、バンダイビジュアルがこの世にある限り、この先何百年、メディアの形式がどんなものになろうと絶対に真野ちゃんの姿が生産され続けるってことが最高なんですよ。押井作品に出るってことはそういうことだから。
(今回の映画ってバンダイビジュアルではなくて松竹オンリーなんでしょうか……そして押井実写作品はあんま展開されない気もするけど)
真野ちゃんが出たことでフクちゃんもパトレイバーに触れたわけだしね!
個人的にはシゲさんこと声優の千葉繁氏がおやっさんのことを叫びながら泣いてるシーンが一番グッときました。
映画のあとはドンキに行って16日の「NewFes(カントリー、こぶし、つばき)」用にペンライト買いました!
山木梨沙様用のライムだけでもいいんですが、せっかくなので15色切り替えられるやつを購入。
そして帰りに立ち寄ったスーパーでKAN先生の『桜ナイトフィーバー』のインストアレンジ流れててバビりました。
ジェームス・キャメロンがパトレイバーをデル・トロに薦めたエピソードで草生える
筧利夫、最初のニコ生での会見の時に「ニコ生を見てる方々、いろいろ意見はあると思いますが、私が後藤田です」と宣言したので、おそらく押井作品の文脈をかなり理解していると思うんですよね。
今回の後藤田隊長の演技は割とブレブレにも見えるけど、元ネタである後藤隊長の昼行灯ぷりにあこがれる実直な男ってふうに見るとベストなものだったのかもしれない。
真野ちゃん言うねぇ、言いますよねぇ
押井監督自身、劇場サイズのアニメ作るときはいつも最新技術を導入する人なんだけど、今回も頑張った模様。ただ、背景が綺麗すぎてCGが合成丸出しの箇所も。レイバーとヘリが海に落ちるとことか。
真野ちゃん乙カレーライス